記者1年目でも、スクープは報じられる。誰よりも早く事実を知りたいと、毎日「勝負」しているような感覚。 Shinpei Suzuki

地方部

全国の県庁所在地に設けられた支局を拠点に、地域に根づいてさまざまなニュースを取材します。新人記者はまずいずれかの地方支局に配属され、警察や行政などを担当し、記者としてのキャリアのスタートを切ります。

鈴木 慎平 鈴木 慎平

2015年入社/法学部政治学科卒
大学時代は体育会の野球部に所属。読売の記者として活躍している先輩から話を聞いて憧れを持ち、かねてから「事件の読売」という印象を抱いていたことから事件記者を志望。入社後は千葉支局に配属。

時間がなくても一生懸命、警察署を回っていた。その苦労と努力がスクープへとつながった。

時間がなくても一生懸命、警察署を回っていた。その苦労と努力がスクープへとつながった。

新人研修後、千葉支局で警察担当の事件記者としてデビューした私。ちょうど高校野球の県予選の時期で、掛け持ちで担うことになりました。昼間は高校野球の取材に追われ、夜になってから警察署を回ってネタ集め。まわりの同期が優秀な人間ばかりでちょっと引け目を感じていた私は、とにかく努力することだけは他人に負けないようにと、夜遅くまで警察関係者への接触を試みていました。とはいえ、警察の方から情報を引き出すためには、こちらも刑法や刑事訴訟法などの法律をきちんと理解しておかなければならない。何とかネタを掴もうと、必死で勉強しては取材相手にぶつかっていきました。警察官というと、強面のイメージがあって近づきにくかったのですが、実際に接してみると多趣味で博識な方がたくさんいらっしゃり、思いのほか波長が合った。そうして少しずつ人脈を広げていたところ、オフの日にたまたまコンビニでお会いした知り合いの警察官の方から「今日、休んでていいの?」と思わせぶりな言葉をかけられて……『これは何かある!』とピンときて、急いで警察関係者に取材を重ねたところ、あるニュースを“抜く(他紙よりも先にスクープとして報じる)”ことができたのです。

ひそかに関心を持っていたネタ。私が書いた小さな記事が、世間で大きな話題に。 ひそかに関心を持っていたネタ。私が書いた小さな記事が、世間で大きな話題に。

それは、自転車が起こした事故に関するニュースでした。当時、道路交通法が改正され、自転車の危険運転に対する処罰が厳しくなったのですが、そんななか大学生がお年寄りをはねて死亡させる事故が発生。施行後で全国初の死亡事案でした。私自身、自転車が好きだったこともあって関心を持っていたのですが、この大学生は書類送検され、自転車が人を死亡させたケースとして立件されることに。「書類送検」は警察から公に発表されることが少ないので、私たちがその事実を掴んで記事にしなければ、一般の人々は知ることができない。そして、自転車の危険運転をしている人は残念なことに他にもいるでしょうが、仮に事故を起こして人を死亡させてしまうと、懲役刑の可能性もあることに世間が驚き、私が書いた千葉県版の記事が、ネット上のあちこちで取り上げられて話題となりました。これをきっかけに自転車の重大事故への注目がさらに高まり、その後も私はこのテーマを追いかけ、遺族の方にもお話をうかがって自転車の危険運転についての記事を続いて執筆。同じような悲しみを味わう人を減らすことが、遺族の方々にとってせめてもの慰めになるのではと、そんな想いで取材に取り組みました。

取材すればするだけ、必ず成果が返ってくる。事件記者の醍醐味は、そこにある。

取材すればするだけ、必ず成果が返ってくる。事件記者の醍醐味は、そこにある。

1年目からスクープを報じられたのは、いま振り返ると、時間がなくて苦しいなかでも頑張って取材を重ねていたから。事件記者の醍醐味は、取材した分だけ必ず返ってくること。一般の方々に取材する機会もたくさんありますが、断られることもたびたびです。配属されてすぐに担当した美術展の取材では、一般の来場者の方に「実名で取材させてほしい」とお願いしても、何人も断られて途方に暮れました。その時、取材の難しさを痛感しましたが、たとえ心が折れそうになっても、それでも『世の中がまだ知らないことを伝えたい』と誠意を持って取材相手に接していくしかない。その努力を怠らない人が、スクープにたどり着ける。事件記者は毎日、いかに真実に早くたどり着くか「勝負」している感覚があって、それがいつも私を突き動かしてくれます。ただ警察から発表されたことだけを伝えるのでは自分の価値はない。事件の全容を一刻も早く知って、そこに潜んでいる社会の問題などを紐解いて、そこまできちんと誰よりも先に報じられるようになりたい。まだまだ駆け出しですが、これからさらに経験を積んで読売新聞で一番の事件記者になることが、いまの私の目標です。

私の就職活動の軸

私の就職活動の軸