アメリカ中を駆け巡り人々の生の声を聞き、社会に潜む問題をあぶりだす。私の記者魂が燃える瞬間。 Takanori Yamamoto

国際部

読売新聞は、全世界に約30ヵ所の拠点を展開。常駐している記者は、英語をはじめ、中国語、韓国語、ロシア語などを駆使して、各国の内政、外交、経済、社会情勢などをいち早く取材しています。東京本社では、デスクと内勤の記者がチームを組んで、海外の記者と連携して紙面をつくっています。

山本 貴徳 山本 貴徳

2001年入社/法学部卒
大手電機メーカーからの転職。入社後は、宇都宮支局で5年ほど経験を積み、本社に異動してからは編成部、経済部、政治部に在籍。主に経済記者として実績を重ね、2016年より海外特派員としてワシントン支局に駐在。
(社員の肩書きは2016年10月現在)

重大な政治判断が示されるアメリカ大統領の記者会見も刺激的。でもそれ以上に、世間の人々への取材が面白い。

重大な政治判断が示されるアメリカ大統領の記者会見も刺激的。でもそれ以上に、世間の人々への取材が面白い。

入社以来、私は「いつかは海外に」という想いをずっと抱いていましたが、2016年春、いよいよそのチャンスが巡ってきました。特派員として駐在することになったのは、米国のワシントン支局。米国の政治・経済政策や社会問題に関するニュースの取材・提稿を担当しています。私はそれまで国内で経済記者としてキャリアを重ねてきましたが、日本の経済政策や産業にアメリカが及ぼす影響はたいへん大きい。その中心であるワシントンD.C.に赴くことが決まった時は、重大な任務を負うことに奮い立ちました。が、いざアメリカで生活を始めてみると、文化や習慣の違いにとまどうことばかり。生活基盤を整えるのも、あらゆる場面で交渉が強いられて一苦労しましたし、食事ひとつとっても、特に夜になると手軽に外食できるような店がほとんどなく、ハンバーガーぐらいしか選択肢がない。だから早めに帰宅して自宅で夕食をとってからまた仕事に取り組むなど、慣れない環境のなかで奮闘していますが、記者としては毎日エキサイティングな経験の連続。たとえば米国の大統領の記者会見に臨んで肉声に触れ、重大な政治判断が下される瞬間に立ち会った時などはとても興奮します。しかし、記者として私が最もテンションが上がるのは、現場に出て一般の人々の生の声を聞く時です。

大統領選挙戦の取材。疑問を追究すると、米国社会が抱える問題が見えてきた。 大統領選挙戦の取材。疑問を追究すると、米国社会が抱える問題が見えてきた。

2016年の大統領選挙の取材にも奔走しました。今回の大統領選では、政治経験のない候補者など傍流とみられた異色の人材が人気を集めましたが、個人的にはその背景がいまひとつわからなかった。そこで一般市民との接触を重ね、米国の社会がどんな問題を抱えているのかを明らかにしようと奮闘。たとえばある女性は、大学時代の授業料のローンの返済に追われており、生活が苦しいと訴えていました。米国の大学は授業料が非常に高く、進学者の約4割が学生ローンを組むものの、そのうち1割は返済不能に陥っているといいます。取材したその女性も、月々返済しているにもかかわらず、利子がかさんで逆に残高が900万円まで膨らんでいるとのこと。借りたお金を返すのは当然ですが、授業料の高い大学に進学しなければ良い仕事に就くのは難しく、就職に失敗して借金だけが残る学生も多い。挽回するのは容易ではなく、彼女のようなごく普通の人が格差に苛まれていた。いまの米国社会の底流には、こうした問題を解決できない既存の政治家への不満が溜まっていると実感し、その時は新たな気づきを得て記者魂が大いに刺激されました。

どれだけ知りたい欲求、書きたい欲求があるか。英語が堪能なだけでは、特派員は務まらない。

どれだけ知りたい欲求、書きたい欲求があるか。英語が堪能なだけでは、特派員は務まらない。

実は、私は英語がそれほど得意ではなく、取材時はいつも四苦八苦しているのですが、記者にとって重要なのは、語学力よりも取材力と文章力。いくら英語が堪能でも、知りたい欲求、書きたい欲求がなければ、海外特派員は務まらない。自分が感じる「なぜ?」を、取材を通して解明し、新たな認識を得て、それをわかりやすく記事に書いて世の中に発信する。それは国内だろうと海外だろうと変わりません。海外で起こる出来事が、日本人の暮らしに直結するケースもたくさんあります。たとえばトランプ次期大統領がTPP離脱を表明しましたが、TPPを契機に国内経済の活性化を図ろうとしていた日本に大きな影響がありますし、あるいは、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを決定すれば、日本の金融市場や為替が変動し、企業の業績や国内の景気にもインパクトがある。日々重大なニュースが発生しており、世界を舞台にフットワーク良く追いかけられるのが海外特派員の醍醐味です。海外支局は少数精鋭であるため、私も書きたいテーマがあれば、ワシントンを拠点にアメリカ国内はもちろん、北中南米あらゆる国々に赴いて問題を追究できる。読売新聞はそうした機会を積極的に与えてくれる会社です。これからも自分の興味に忠実に、世界中を駆け巡っていきたいと思っています。

私の就職活動の軸

私の就職活動の軸