デジタル技術

最先端のデジタル技術が読売新聞をさらに進化させる。 最先端のデジタル技術が読売新聞をさらに進化させる。

新聞制作にITはもはや不可欠。海外の最新技術動向も常に把握。 新聞制作にITはもはや不可欠。海外の最新技術動向も常に把握。

ITの進歩によりデジタル化がいっそう進展する現代社会。読売新聞もこうしたデジタル化の波にいち早く対応し、新たな取り組みを数々繰り広げている。
新聞制作の現場では、もはやデジタル技術は不可欠なものとなっている。現場で取材にあたる記者は、PCの専用ソフトで記事を作成し、ネットワークを介して本社のデータ管理システムへ。日本国内だけでなく、全世界から集められた記事や写真のデータをデスクが確認・修正し、それが編成部に送られてコンピュータ上で紙面がレイアウトされていく。この一連のシステムが万が一ダウンすると、新聞制作の機能が完全にストップしてしまうのだ。また、2013年に竣工した新東京本社ビルでは、最新のネットワーク環境を構築。こうしたITインフラ基盤の整備に携わる社員の一人が、制作局の麻生だ。どんな仕組みが最適なのかを企画し、システムに求められている条件を定義して仕様を作成。そして、社外のメーカーの専門家たちと共にシステムをつくり、稼働させていくことが彼のミッション。常時、複数のプロジェクトを担当し、そのマネジメントに力をふるっている。
「読売新聞にとって何よりも重要な資産は、現場の記者たちが取材して書いた記事をはじめとする『情報』です。そうした情報をネットワークでやりとりするには、セキュリティーがきわめて重要。世界中で新たな脅威が次々と発生しており、対応する技術が絶えず生み出されています。私たちも、海外まで定期的に足を運んで最新の動向をつかむことに努めており、有望な新技術や新製品があれば、読売新聞のシステムにふさわしいかどうかを見極めて導入を図っています」。

震災復興を伝えるためにVRを導入。新たな表現方法の開発にも挑む。 震災復興を伝えるためにVRを導入。新たな表現方法の開発にも挑む。

一方、デジタル化はメディアの世界にも大きく及んでおり、インターネットを通じた情報の流通は、重要さを増している。紙のメディアとしての新聞の一覧性や網羅性といった価値に変わりはないが、デジタルメディアへの対応もこれからの新聞社にとって重要なテーマのひとつだ。それを担っているのがメディア局であり、企画開発部のメンバーとして奮闘しているのが川嶋だ。彼は「情報を伝える」ための新たな表現手段の開発に取り組み、これまで斬新な企画をインターネット上で次々と形にしてきた。たとえば2016年に公開した、360度動画を使って東日本大震災の被災地の復興の実態を伝えたコンテンツもそのひとつだ。
「震災後5年という節目を迎えて、その復興の様子を広く世の中に伝えたいと考えていたのですが、まずは写真部が震災直後から撮影を続けている、被災地の連続航空写真を使ったコンテンツをWebメディア上で企画しました。航空写真には、津波でほとんどの建物を失った町が徐々に盛土を行い、再生に向けて動いている様子が映し出されています。ただ、航空写真には『被災した人々、復興に向けて動く人々の姿や声』が見えませんでした。そこで、360度動画によるVR(仮想現実)技術を手がけるベンチャー企業と協業し、『被災者の声』を動画で載せようと決断。その場にいるような感覚になるVRならば、被災者の声もリアリティをもって伝わると考え、現地で取材を行い、動画記事を完成させて2016年の2月上旬から公開しました。たいへん大きな反響を呼びましたし、これは被災地に深く入り込んで取材を続けてきた読売新聞だからこそ実現できたと思っています」。
現在は、ニュースサイトであるYOMIURI ONLINEの編集にも力を注ぐ川嶋。読売新聞ならではの強みを生かしたデジタルコンテンツとは何か? 彼は今日もその答えを模索し続けている。

たとえば、AIを使って何ができるか。未来へ向けて可能性を追い求めていく。 たとえば、AIを使って何ができるか。未来へ向けて可能性を追い求めていく。

いまITの世界では技術革新が急速に進み、新たなサービスが続々と開発されている。たとえば、クラウド環境で提供されるサービスを利用することで、低コストで容易にビッグデータを分析できるようになるなど、うまく活用すれば「情報」を資本とする読売新聞にとって大きな武器になる。こうした世の中の流れに、さらに対応していかなければならないと麻生は語る。
「最先端技術を活用することで、読売新聞の事業もさらにより良く変えることができると考えます。たとえばいま注目を集めているAI(人工知能)ですが、この技術を使えば、鉄道の遅れや地震発生などの定型の記事作成の自動化も可能。AIが自ら情報を収集し、定型にあてはめて文章を処理して自動で配信できれば、記者はその作業から解放され、浮いた時間を本来力を注ぐべき、より専門的な取材にあてられる。結果として記事の質もさらに向上していくと思います」。
AIについては、川嶋も未来に向けて大きな可能性を感じている。
「いまや誰でもスマートフォンなどのモバイル端末を身につけています。そこにセンサーとAIを搭載すれば、個人のいまの気分や嗜好を察知し、それに合わせたニュースを判断して配信するなど、究極のパーソナルメディアが生まれるかもしれません。読売新聞としても、そうした未来をきちんと見据えて、いまからできることに果敢に挑んでいかなければならない。デジタルメディアの世界は今後ますます面白くなっていきます」。
しかし、どんなに技術が進化しようとも、「信頼できる情報をいち早く伝える」という読売新聞が果たすべき使命は変わらない。むしろ、その使命を高い次元でまっとうしていくために最新技術を活用していくのだと二人は語る。長年にわたって培ってきた「コンテンツ制作力」に「デジタル技術」をかけあわせて、読売新聞は新たな報道の形を社会に提示していく。

麻生 研介

2006年入社。理工学研究科修了。入社以来、制作局技術一部に所属し、新聞制作システム開発や全社ネットワークインフラ構築などのさまざまなプロジェクトに携わる。入社6年目で迎えたロンドン五輪では現地へ赴き、メインプレスセンターの読売ブースに社内同様のシステム環境を構築した経験も持つ。
(社員の肩書きは2016年10月現在)

川嶋 路大

2004年入社。人間科学部卒。金沢支局での事件記者、総務
省担当の経済記者などを経て、メディア局企画開発部で新
しいコンテンツやサービスを創出してきた。これまでに「新
幹線 半世紀の旅」「検証 戦争責任」「東京モーターショー
60年の軌跡」など数々のWebコンテンツの制作を担当。
(社員の肩書きは2016年10月現在)